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【感想】『いのちの車窓から 』の「怒り」より(星野源) マイナス×マイナス=プラスの関係性

 

先日、星野源さんの『いのちの車窓から』というエッセイ本を購入した。

なんとなく一気に読んでしまうことが勿体なくて、“1日に5章まで”と決め、寝る前の睡眠導入剤としてゆっくりじっくり読み進めている。

 

いのちの車窓から

 

そもそも星野源という人物を良いなあと思うようになってからはまだ日が浅く、お察しの通り、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』がきっかけなのだが。

そこから彼の歌を聴くようになり、深夜のラジオ番組『星野源オールナイトニッポン』を聴くようになり。

声が好きだなあ、とか。笑い方が好きだなあ、とか。着目点が好きだな、とか。

少しずつ少しずつ、星野源の魅力に虜になっていった。

 

そして今回、『いのちの車窓から』を読み始めたわけだが、しょっぱな「怒り」という題目のエッセイで「うん、やっぱりこの人好きだわ」と思わされた。

 

「怒り」では、星野源さんの音楽仲間であるハマ・ オカモトさん(okamoto's)とのエピソードが綴られているのだが、星野さん曰く、ハマ・オカモトさんは「なぜかいつも怒っている」のだという。

 

そしてその怒りを星野さんにぶつけてくるらしいのだ。

で、結局は星野さんもハマさんに対して日頃の怒りエピソードをぶつけ、お互いに怒りトークに花を咲かせるらしい。

 

そんな二人には暗黙のルールがあるようで、それが「とても良いな」と思った。

以下、引用。

 

そんな二人には暗黙のルールがある。

それは「ヘビーな怒りエピソードほど面白く、笑えるように」

話すことだ。 

(引用:『いのちの車窓から』(星野源)21頁より)

 

さて、彼ら2人の“ヘビーな怒り”がどんなものなのかは、ぜひ本作を読んで欲しいのだが(私はお風呂でこのエピソードを読んで大声で笑いました)、「ヘビーな怒りエピソードほど面白く、笑えるように」という考え方は実に素敵だと思った。

 

さらにこのエッセイの最後。

 

その時、この世から一つの怒りが消えた。

( 引用:『いのちの車窓から』(星野源)24頁より)

 

 そう締め括った彼の言葉選びや人柄に、また虜にさせられてしまったわけである。

 

ここからは私自身の話なのだが、私は、愚痴や不平不満 (いわゆる負の感情)ってやつを話す相手を選ぶようにしている。

 

身の回りにいないだろうか。

 

「この人に己の負の感情を一度でも見せると、どんどんその負が肥大化してしまう」という相手が。

 

そんな人には私は決して自身の負の感情を話したりしない。その人と別れた後に、一層落ち込んでいる(自己嫌悪に陥っている)姿が目に見えるから。

 

じゃあ、「己ひとりで負の感情に打ち勝つのか?」と聞かれれば、答えはNOだ。

負の感情を自分だけで消し去るってのは結構難しいことである。

だから結局は他人に頼ることになるわけだが、中にはいるのだ。

星野さんの言葉を借りれば、「その時、この世から一つの負の感情が消えた」と思わせてくれる相手が。

 

私にも何人かそんな相手がいるのだけれど、先日そのうちの一人と久々に会うことになった。

彼女は前職の同期なのだけれど、今はお互い違う環境にいて、会うのは半年ぶりだった。

 

なんとなく「あー、最近私落ちてんなあ」と思っていた時に、「なあ、元気にしてる?そろそろ会わへん?」と彼女の方から連絡があった。私は二つ返事で頷いた。

 

彼女は自分のお店を持っており多忙を極めていたから、会えるのは店のオープン前の2時間程度だった。

 

その2時間、私たちはひたすら話し続けた。

仕事のことから恋愛のことまで。愚痴や弱音を交えながら話し続けた。

私は、彼女には安心して自分の負をさらけ出すことができた。というのも彼女が最後には「ま、なんとかなるやろ!」と笑い飛ばしてくれることを知っているからだ。

 

そしてその日も、彼女はユニークな発想で私を救ってくれた。(彼女曰く、この言葉は彼女自身が他の誰かから向けられたものらしいのだが)

 

「最近、自分落ちてってるなあって思っては、へこむんよねえ」

 

そう弱音を吐いた私に。

 

「落ちたら後は芽を出すだけやん」

 

そう言ったのだ。

 

一瞬「?」の文字が頭に浮かぶ。

 

彼女は続けた。

 

「今まではさ、木の枝にユラユラぶら下がってた果実やったんよ。良いように見えるけど案外不安定な状態なやつね。その果実が一度熟しきって落下したんよ。で。落ちるとこまで落ちたら、後は根を張って、芽を出して、花を咲かせて、実をつけるだけ。この繰り返し。落下するから次の芽が生まれるんよ。やからさ、落ちて良かったやん」

 

なんともポジティブすぎる発想だ。

楽天的すぎる!

と、頭で小馬鹿にしながらも「確かに、私落ちて良かったやん。後は丁寧に水やってればいいのか!」なんて、前向きになっている自分がいた。

 

『いのちの車窓から』の「怒り」のエピソードを読んで、先日の友人との会話を通して、シンプルだけど思ったことがある。

 

(ー)+(ー)=(ー)

 

の関係よりも

 

(ー)×(ー)=(+)

 

の関係の方がずっといい。

 

そうそう、友人と別れた後にふと思ったことがある。

 「そういえば私、昔から植物を育てるの苦手で花が咲く前に枯らしてたな」と。

 

 

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